特定調停は、簡易裁判所が借金の調停をしてくれるというシステムです。
調停が成立すれば、減少した借金を3年程度で返済していくことになります。
その最大のメリットは、費用を抑えられる点にあります。
これは、簡易裁判所が借金の調停をしてくれるため、弁護士や司法書士などの専門家を雇う必要がないことによるものです。
それでも、債権者ごとに500円と数千円程度の郵便切手代がかかりますが、やはり、他の債務整理の手段よりも安くつくことには変わりがありません。

さらに、特定調停は、借金の使い道を問われることはありません。
そのため、ギャンブルなどで借金を作った場合でも、特定調停を利用すすることができます。
そのうえ、申し出が受理されると、債権者からの取り立ては停止されるのです。
また、簡易裁判所の仲介があるため、債務者と債権者は直接交渉する必要はありませんし、交渉する債権者を自由に選べるため、特に返済が難しい借金だけを整理することもできるのです。

そして、調停が成立すれば、金利は利息制限法の上限金利で再計算されるため、場合によっては借金を減らすことができますし、自己破産などのように、一部の職業への就職が制限されることもありません。
さらに、官報にも掲載されないため、一部の債務整理よりは、その面で優遇されていると言えます。

ただし、特定調停も良い点ばかりではありません。
まず、費用が安いといっても、それは自分で手続きをする場合であり、その手続きは、それほど困難ではありませんが、やはり一般人にとっては、債権者の一覧表や自分の収入証明書など、各種の書類を集める必要があり、煩雑であることには変わりがありません。

また、借金の理由は問われませんが、返済能力があるかどうかは、重要な問題となってきます。
そのため、継続的に収入を得る手段を持っていない場合は、申請が受理されないこともあるのです。
さらに、就職制限や官報への掲載がないといっても、金融業界内のブラックリストには掲載されるため、それ以降の10年程度は、借金だけでなく、クレジットカードやローンの申請なども受理される可能性は限りなく低くなるという点にも注意が必要となります。

しかし、その最大の問題点は、このような問題の専門家ではない簡易裁判所に仲裁を委ねることにあります。
そのため、より確実な債務整理を期待するのであれば、やはり専門家に任せた方が良いのです。
これらのことから、特定調停は、資金がない状態で採用するべき手段であり、資金があるのであれば、やはり専門家に依頼して、他の手段を利用した方が良いと言うことができます。