自己破産には一定以上の財産を処分しなければならず、また、信用情報にも傷が付いてクレジットカードやローンの利用が困難になるなどのデメリットがあります。
ただし、生活保護や年金の受給が停止されたり差し押さえられるような影響はありません。
また、これらを受給していると免責されないなどの制限もないので、免責不許可事由に該当するようなことがなければ手続きをして借金免責が認められます。

これらを個別に見ていくと、まず生活保護の場合、保護費を借金の返済に充てることは不適切であるとされているため、申請時に借金がある場合にはまずそれを清算するように求められます。
このとき、返済できるだけのお金を用意できないのであれば自己破産するように勧められるので、破産したことで申請が通らなくなるような心配はありません。
また、受給中に自己破産することもできるのですが、これには注意点があります。
生活保護の受給中に借金をした場合、受給しながら仕事をしていた場合でも保護費を返済に充てていると見られることがあり、ケースワーカーに借金が見つかると不正受給として受給が停止される危険性があります。
そのため、できるだけ借金は避け、お金が足りない場合はケースワーカーに相談するようにしましょう。

年金受給者が自己破産で問題になる点としては、公的な年金ではなく、民間の保険会社などが扱っている個人年金については資産として扱われるので、処分の対象になります。
また、手続きを行うと銀行口座が凍結されてお金を引き出すことができなくなります。
裁判所で手続きして凍結を解除できますが、これには時間がかかってしまうため、そのままにしていると生活が困難になってしまいます。
これを避けるため、先に口座からお金を引き出しておき、受給口座も変更しておきましょう。

生活保護、年金の受給者が自己破産するときに共通する問題点に手続きを行うための費用があります。
弁護士に支払う費用は決して安いものとは言えないため、受給以外に仕事などで収入を得ていない場合はこの支払いが困難になります。
しかし、このような場合に費用を立て替えてもらえる制度があります。
法テラスでは経済的に困っている人を対象として、1つの案件につき3回まで無料で相談を受けることができます。
また、弁護士への報酬も立て替えてもらえますが、費用が明確になっているので相場よりも高い金額を要求される心配はなく、自分で弁護士を探すよりも安くなります。
これは立て替えであるため、手続きが完了した後に原則として3年間で返済できるように毎月分割で支払うことになります。